マネージャーのアウトプット(High Output Management 引用)


はじめに

新米マネージャーとして、学ぶべきことは非常に多いと感じており、
本やいろんな人から学んだことを忘れないように、頭の中を整理したいと思う。
最初に学んだ中で、最初に取った一冊「High Output Management(ハイアウトプットマネジメント)」から得るものはとても多かったので、
そこで学んだことのメモを、ファイリングして行きたいと考えている。

High Output Management とは

元インテルのCEOのアンディ・S・グローブ氏が、
経営者や起業家、マネージャー向けに実践的なアドバイスをまとめられた経営書。
著名な起業家や経営者の多くによって賞賛されている。
 

マネージャーのアウトプット

マネージャーのアウトプットは、
「自分の組織のアウトプット+自分の影響力が及ぶ隣接組織のアウトプット」である。

  • マネージャーは部下や影響下にある仲間達が創出するアウトプットで評価されなければならない
  • マネージャーがなすべきことは、部下の教育とモチベーションの向上(人が仕事をしない理由は、能力がないか、意欲がないかのいずれかであることが理由)
  • 意思決定や経営資源の配分、育成、企画立案などはアウトプットではなく、アクティビティ。
  • マネージャー自身の仕事も重要だが、それ自体はアウトプットを作り出していない

 

マネージャーの活動

情報収集

マネージャーの仕事の多くの時間を、情報収集に使われる。
たまたま交わすちょっとした会話は、タイムリーで価値が高い。
一方で、文字で書かれたレポートはタイムリーではなく、価値が劣るが、
そうしたレポートはまとまったデータセンターを構成し、随時入ってくるインプットの確認を助け、
見逃すかもしれないようなものが漏れないようにすくい取る役割がある。
また文字で書かれるレポートは、それを書く人は口頭でいうよりも厳密にならざるを得ず、
規律と思考を自らに課さざるをえないことから、レポートの価値が生じてくる。

情報提供

事実を伝えること以上に、マネージャー自身の目標や重要事項、優先事項などについても、
伝える必要がある。
そうすることで、部下はどうすればマネージャーや監督者に認めてもらえるような意思決定ができるかが分かる。
これは、権限移譲の成功にも繋がる。

意思決定

「前向きの決定」と「危機に対する決定」がある。
前者は、大型支出の許可などで、後者は、大きくなりつつある問題や危機に対応する決定。
また、日々の様々な出来事に対して、何がしかの影響を与えることがある=ナッジング(突っ込み)。
これは、こんな風にしたらという助言や、プレゼンへのコメントなど、
マネージャーとして望ましい解決の仕方を主張はするが、指示や命令を出しているわけではなく、
でも単に情報を伝えるよりは強い。

役割モデル

価値観や行動規範を口頭やメモでは伝わらないが、実践や目に見える行動によって効果的に伝達することができる。
いわばお手本を示すということ(=役割モデル)。
また、マネージャーの重要な資源は「時間」である。この割り当てと使用に相当の注意を払わなければならず、
自分自身の時間をどう扱うかは、マネージャーが役割モデルを果たす上で重要な側面となる。

ミーティングが多いと嘆く前に

マネージャーの活動である、情報収集、情報提供、意思決定(ナッジング)、役割モデルの全てにおいて、
ミーティング以外でできるものは実際問題として、ない。
ミーティングこそ、マネージャーとして活動する機会を提供している。
人と顔を合わせること自体は手段ではあるが、マネージャーに最大のテコ作用をもたらす。
 
 

経営管理活動のテコ作用

テコ作用とは、特定の経営管理活動により生じるアウトプットの尺度。
マネージャーのアウトプットは色々なテコ作用の度合いに異なる個々の活動の総計である。

マネージャーのアウトプット
    ||
組織のアウトプット
    ||
L1 x A1 + L2 x A2 + ・・・

L:Levarage(テコ作用)
A:Activity(活動)

つまり、高いアウトプットをあげるには、
1日の中でマネージャーが行う行動にどういうテコ作用が働いているかを意識することになる。

マネージャーの生産性、つまり、稼動単位時間あたりのアウトプットは次の3つの方法で増加できる。

  1. マネージャーが自らの活動を遂行する速度を速めて、仕事をスピードアップする。
  2. 色々な経営管理活動に関連のあるテコ作用を増加する。
  3. マネージャーの活動のミックスを、テコ作用の低いミックスから、より高いミックスに換える。

テコ作用を高める活動

大勢の人が一人のマネージャーにより影響を受ける場合

例えば、大勢の従業員による生産活動に対して、混乱や曖昧さを避けるために、
マネージャーが方針や指針を出す場合などで、これは組織全体の生産性にテコ作用を持つ。
タイミングが重要で、後手後手に回って急いでマネージャーが援助しようとしても、テコ作用がはるかに小さくなることは明らか。
また、このテコ作用はネガティブにも働くことがあるので注意が必要。
例えば、指針を示す際に準備不足だとすると、大きな時間の浪費にも繋がる。

ある人の長期間にわたる活動が、特定のマネージャーの短いが的をえた言葉や行動に影響される場合

例えば、ある人が進めている活動が仲間達に広くテコ作用を効かせようしている場合、
マネージャーは考課として短時間でその活動に大きな影響を与えることになる。
考課次第では、大きな成果を出すテコ作用にもなり、また底なし沼のような意欲低下を長期間に渡ってもたらす可能性もある。
人事考課だけではなく、部下の活動に対しての指導方法やお節介、干渉などによっても、
ポジティブにもネガティブにも作用することになる。

ユニークで貴重な鍵となる知識や情報を提供する個人によって、大きなグループの仕事が影響される場合

高い技能を持つものや、会社の売上などに大きな影響を持つポジションの人材は、
他の人々の仕事に対して甚大な権限と影響力、つまり、極めて高いテコ作用を持っている。

テコ作用としての権限移譲

具体的な活動を細かく指示する(お節介)だと、テコ作用は低い。
自分が精通している活動を委任し、その活動完了をモニタリングすることが適切な権限移譲。
委任した部下の能力や経験で、モニタリングする頻度を増減すべき。

マネージャーの部下は何人が適切か

人が足りないとテコ作用が弱まるし、多すぎても同じく弱まる。
6~8人くらいが良い。3~4人だと少なく、10人だと多い。
部下一人につき週半日を当てなければならない、という基準から導き出された数字。
部下一人に週2日では余計な干渉に陥りやすく、週に1時間だとモニタリングの機械が十分得られない。

私が学んだこと

マネージャーは、部下のアウトプットで評価されるべきであることを認識することから始まる。
これを理解していない、実践していないマネージャーは多いと感じる。
どうしても自分が現場で手を動かして成果を出したくなるし、
そうやって認められてきた人がきっとマネージャーになっているんだけど、
それでは自組織全体での高い成果は得られない。
マネージャーが行う行動にどういうテコ作用が働いているかをしっかり理解することで、
日々の活動は変化することになる。