情報処理技術者試験 プロジェクトマネージャ試験(PM)の対策と有用性について


はじめに

IPAのプロジェクトマネージャ試験(以降PM)に合格した時の勉強方法や、その時点の私の実務経験値、保有スキルなどを書きます。

あと、資格の有用性について書いてみようと思います。
「情報処理技術者の資格は実務には役に立たない」と言う方もいます。確かに試験に合格することを目的として勉強している人もいると思いますが、「役に立たつかどうかは資格を持っている人しかわからない」というのが持論なので、資格保有者としての有用性について書いてみようと思います。

合格した時の実務経験値と保有スキル

  • ソフトウェアの開発経験
    15年前後、要件定義/設計/コーディング/テスト/運用まで一通り経験済み(使用言語については試験に影響しないため省略)
    ちなみにPMBOKと違い、PMはソフトウェア開発のマネージメントを想定しているため、開発経験が無いと合格は難しいと思います。

  • プロジェクトマネージャの実務経験
    5案件ぐらい?(ただし、実務上のPM/PLの役割定義はあいまいだと思います。また、メンバーの中で一番キャリアが長いため、事実上のマネージャ?みたいな事もよくあると思いますので参考程度で)

  • 保有資格
    IPA応用情報技術者、セキュリティスペシャリスト、ベンダー系の開発言語資格2つほど

勉強方法

参考書を1冊+過去問題の繰り返し
私は翔泳社のEXAMPRESSシリーズが合うので、良くお世話になっています。

参考書を読む ⇒ 過去問を解く ⇒ 間違えたところを参考書で復習するという勉強のサイクルです。
午後Ⅱは論述式で長文を書く必要がある為、慣れておく必要があります。2~3案件をモデルに10回ぐらい書きました。

試験は2回目で合格しましたが、勉強時間は1回目、2回目共に70時間程度です。

試験対策

  • 午前Ⅰ試験の免除制度を利用する。
    筆記試験なので1日の字を書いていると結構疲れます。午前Ⅰの免除制度を利用して負担を減らしましょう。(ITなのに試験はアナログですね・・・)
    私の場合は応用情報を先に取得して、免除制度を利用してPMを受けました。

  • 午後Ⅱ(論述式)対策として、事前に書くネタを用意しておく事が必要です。
    ただし、実務経験をベースにしないとリアリティが出ないため、実務でのPL/PM経験が無いと厳しいと思います。
    実務経験が無い場合は、シナリオ提供者が必要だと思いますが、現実的ではありません。
    また、参考書に書いてあるとは思いますが、論文の中にはPM試験の知識体系に従った知識を幾つか盛り込む必要があります。
    例えば

    • 若手の多いプロジェクトチーム ⇒ プロジェクトチームの育成を達成した。
    • リリース直前にユーザーから難しい変更要望を受けた ⇒ ステコミに対し調整を実施し、段階的リリースで対応した。

などを論文に盛り込む事や、過去の経験から「こうしておけば良かったなー」と反省したことを成功事例に変換して書きました。
成功事例に変換する理由ですが、解答に失敗したプロジェクトとして書いてはいけないようです。

その他の事は参考書で勉強すれば何とかなると思います。

有用性

当然のことながら、資格を持っていてマイナスになる事はほとんどありません。

プラスの方向に出た場面としては、実務でマネージメントをする際の基本的な考え方として使えます。
今までは上司、先輩のマネや過去案件の成果物を踏襲したマネージメントでしたが、勉強で得た知識をベースにしたマネージメント手法にする事で、管理の抜け漏れが減りました。
新しく学んだ手法も使ってみようという気持ちになりますが、メンバーが慣れていたり、報告を受ける側が理解しやすい手法を選択することが現実的です。

また、新規案件の面談時にPM資格保持を評価されることもありました。
PM/PLの能力は業務経歴書から判断し難い能力ですが、PM資格を持っていると、ユーザーコントロールやベンダーコントロール、プロジェクトチーム運営が出来そうだと評価されます。

試験勉強をしていて気付いたのは、コミュニケーションスキルを知識体系の一つとして扱っていた事です。
チームメンバーのモチベーションの上げかた、直接交渉するユーザーに問題がある場合のエスカレーション方法など、困ったとき/困る状況になる前の動きかたを有効に使っています。

その他、PDCAや報・連・相の重要性を改めて理解する良い機会になったと思いますので、私の結論としては「役に立つ資格」でした。

まとめ

実務でPM/PL経験を積むことに加え、PM資格を取得することでマネージメント慣れします。
慣れて来るとPMのポジションでは無くてもリスクマネージメントやタイムマネージメントはやる癖が付きます。
また、メンバー負荷の平準化など、ついつい気になってしまいます。
どんなポジションでも、プロジェクトを俯瞰するようになったのだと思います。

ただ、私の担当する案件規模がそれほど大きくないため、メンバーの詳細な動きをイメージするマネージメント方法になっています。
なので、1000人月とか経験したことのないプロジェクトのPMは知識があっても出来ないと思います。