RPA導入はボトムアップ型とトップダウン型アプローチのどちらがいいのか
ここ2~3年もてはやされているRPA導入についてよく議論されるのが、「現場主導のボトムアップアプローチ」がよいのか、「経営主導のトップダウンアプローチ」がよいのか、ということである。欧米だと実はこういう議論にはならないようであるが、日本ではこのような議論が起こる背景がいくつかあるので、その背景とともに見ていくことにしたい。
日本で流行ったボトムアップ型アプローチ
日本では2017年頃からRPAブームに一気に火が付いた。某企業での過労死問題などが大々的に報道されたこともあり働き方改革を進めなければいけないという機運が一気に高まった。また、少子化や採用のミスマッチの問題も頻繁に取り上げられるようになった。
働き方改革を実施するための対策が現場に求められた中で、これを実現するためのデジタルツールの1つとして「RPA」が選ばれた。日本においては現場主導で身の回りの業務をそのまま置き換える形でRPAが導入されることが多く、現場の決済ですぐに進められることもあり、欧米 (大企業の7割程度)に比べて浸透のスピードが高い (大企業の9割程度) といわれている。
一方、日経コンピュータの特集からも明らかなとおり、まだ大きな成果が出ている企業は2割以下と、とても少ない。いまのRPAの広がり方だけでは出せる成果に限界があることがうかがわれる。
欧米ではトップダウン型があたりまえ
欧米では昔からグローバルでの競争にさらされ、トップの経営判断が生死をわけることが多かった。そのため、1990年代にはビジネスプロセス・リエンジニアリング (BPR) が流行りだしてトップダウンで企業内での業務の整理が行われるようになった。その土壌があったため、RPAの導入もトップダウンでBPRとのセットで実施されることが多いようだ。ビジネスプロセスには、企業内にそのオーナーとなる担当者が明確になっており、複数部門にまたがるプロセスはその担当者が決定権限を持っている。したがって、その担当者と一緒にRPAを導入すればよいことになる。
日本においてはどちらがよいのか?
では、日本企業においてはどちらの導入方法が適しているのであろうか。筆者がいくつかのRPA導入企業の事例を聞いた結果によると、実はどの企業も「トップダウン型とボトムアップ型のハイブリッドが必要」と話をしていた。日本では戦後からバブル崩壊までの約半世紀の間、単一事業でずっと成長できてしまった企業が多いという背景がある。トップダウンで重大な経営判断をしなくても現場のカイゼンに任せておけばよかったために、トップダウンの事業改革、BPRというものは行われた来なかったのである。
そのため、業務のやり方も部門ごとに標準化されておらず欧米型のRPA導入をいきなり適用しても無理なのである。初期フェーズではそれぞれの部門でのボトムアップ型導入により、それまで行われていなかった業務のデジタル化をまず体験することが必要であった。
しかし、お試しでRPAがある程度広まってきた今となっては、第2段階として欧米型の本格的なRPA展開を目指す必要があるだろう。つまり、日本においてはまずボトムアップ、次にトップダウンといったハイブリッド型のアップローチが必要になってくるようである。
以下にそれぞれの手法の特徴をあげておく。
ボトムアップ型のメリット
- 現場判断で進められるため、スピード感をもって導入ができる。
- 現場の意見が取り入れられやすい。
ボトムアップ型のデメリット
- 身の回りの心理的負荷が高い業務から適用してしまうが、そのような業務は複雑でRPA導入に向かないことが多く、頓挫する可能性が高くなってしまう。
- 全体で見たときに大きく効率化されるべき業務が適用業務に選ばれないことが多く、身の回りの業務をそのままRPA化してしまい、小さくまとまってしまうことが多い。
- リソースや人材は部門ごとに個別最適されたままとなり、大きなことができない。
トップダウン型のメリット
- 組織全体で見たときにメスを入れるべき領域を経営判断できる。
- 社内でのリソースの再配分が可能となり、大きな取り組みが可能となる。
- 経営企画、IT部門、現場で仮想組織 (CoE)を作って、組織内の様々な見識をあわせた推進が可能となる。
トップダウン型のデメリット
- 現場の意見が取り入れられないことがあり、現場とのギャップが生じることがある。
- 最初はなかなか火がつかない。導入スピードは遅くなりがちである。
参考記事
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この問題について(RPA導入はボトムアップ型とトップダウン型アプローチのどちらがいいのか), 我々は、より多くの情報をここで見つけました https://qiita.com/spaces/items/affda4441607497e23eb著者帰属:元の著者の情報は、元のURLに含まれています。著作権は原作者に属する。
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