【RPA】サーバー管理の仕組み/ツール別比較


RPA Advent Calendar 2019 14日目です。

RPAを個人の生産性の向上ツール (=Robotic Desktop Automation, RDA)ではなく、部門全体、もしくは部門横断/組織全体の生産性を上げるためのツールだと考えたときに、必ず必要になってくるのが「サーバーによるロボットの管理機能」です。

尚、RPAソフトウェアの中にはこの機能が皆無のものもあり、そのようなソフトウェアは組織規模での展開には不向きです。(たとえば最近マイクロソフトが発表したMicrosoft Flow改めPower Automateは、ロボット自体の自動化機能や作成機能は面白いのですが、ロボット管理機能が皆無のため、いまのところ個人の生産性向上の枠を出られないRDAツールという位置づけになります)

ということで、サーバー管理の主要な仕組みについて主要5大RPAソフトウェア (WinActor、BizRobo!、UiPath、Automation Anywhere、Blue Prism)の比較をしてみたいと思います。

ちなみに、サーバー機能がオプションであるWinActor、Bizrobo!、Uipathについては、サーバー機能が導入されている割合は10%未満ともいわれているため、実際にはサーバー機能が使えないユーザーが多いようです。

サーバー管理の仕組み - ずばり比較!

RDAのソフトウェアについては、サーバー機能も一緒にインストールすることを前提としています。

凡例

機能名 WA BZ UP AA BP 説明
Active Directoryユーザーと同期したユーザー管理 👍 👍 👍 👍 BizRobo! Basic、UiPath Orchestrator、Automation Anywhere、Blue PrismはADユーザーを自動作成または自動ログインする機能あり。Automation Anywhereは単一フォレスト マルチドメイン環境をサポート。WinDirectorはユーザーの一括登録はCSVにて。
ロールベースアクセス制御 (RBAC) 👍 👍 👍 👍 WinDirectorのユーザー権限は組織階層に基づくものや決まったものしか選べずロールを定義する機能がない。BizRobo!はProject RoleとSecurity Groupでアクセス制御をする。UiPath Orchestrator、Automation Anywhere、Blue Prismは組織や役割によって、詳細なアクセス権の制御が可能。
ログイン情報集中管理 👍 🔺 👍 🔺 WinDirectorは仕組み無し。BizRobo!Basicは10.1からパスワードストアが実装。UiPath Orchestratorにログイン情報をサーバー側で管理する「アセット」という仕組みがある。ロボットごとに値を変更できるが、管理者が資格情報を設定する。Automation Anywhereは「Credential Vault」で、Blue Prismも標準で集中管理の仕組みを持っている。ただし、単一のユーザー名/パスワードしか一つのアカウントに割り当てられないようである。
野良ボットが発生しない仕組み 🔺 🔺 🔺 👍 👍 すべての製品で、サーバー機能を導入すれば野良ボットが発生しないようにロボットを集中管理できるが、RDAでも動作するWinActor、UiPath、BizRobo!はRDAで動かすことを禁止できないため、完全に野良ボットを防ぐことはできない。
ロボットの状態監視 👍 👍 👍 👍 👍 WinDirectorは実行ロボ状態確認機能はある。
ログの管理と閲覧 🔺 🔺 🔺 👍 👍 WinDirectorはシナリオ編集履歴が見られるのみ。BizRobo! Basic、UiPath Orchestratorは機能があるがログが削除できてしまう。Automation Anywhereは機能あり、かつログは削除できない。Blue Prismはユーザーが使ったデータの記録まで含め、一番細かくログが取れる。
ロボット実行のスケジューリング 👍 👍 👍 👍 👍 スケジュール機能はサーバー機能を導入していればすべてのソフトウェアで利用可能。
ロボット実行のワークロード分散/キューイング 👍 👍 👍 👍 WinDirectorは機能なし。BizRobo! Basic(キュー)、Uipath Orchestrator (キュー)、Automation Anywhere (キュー/BotFarm)、Blue Prism (Work Queue)は機能あり。
ロボット実行デバイスの管理 👍 👍 👍 👍 👍 WinDirectorは実行ロボグループ/振り分けグルーにデバイスを登録できる。BizRobo!はデバイスマッピングに登録。UiPath、Automation Anywhere、Blue Prismもデバイス管理機能がある。
ROI算出/高度な可視化 🔺 👍 👍 👍 WinDirectorはロボット稼働状況の簡単な可視化ツールはある。BizRobo! Basicは可視化ツールなし。UiPath OrchestratorはElasticsearch・Kibanaを使った可視化ツールあり。Automation AnywhereはElasticsearch・Kibanaを使ったダッシュボード、Bot Insightで本格的にROIの計算ができる。Blue PrismもProcess Discovery Toolでの可視化が可能。
ロボットの組織内共有 🔺 👍 👍 WinDirectorとBizRobo! Basicは機能なし。UiPath OrchestratorはGit/TFSを介す。Automation AnywhereはControl Roomにリポジトリが存在。Blue Prismも独自の仕組みがある。
ロボットのバージョン管理 🔺 🔺 👍 WinDirectorとBizRobo! Basicは機能がない。UipathはGit/TFS/SVNで、Automation AnywhereはSVNで、Blue Prismは独自の仕組みでバージョン管理を行う。

参考文献

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