標準化のススメ


「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。

人は生まれながら平等であると言われているが、
現実には大きな差がある。それはなぜであろうか。
その理由は、標準化したか標準化しなかったかによるものである

職場で発生しがちな様々な問題

◆え!辞めちゃうの?あれできる人材いたかな?
ベテランのYさんがやめちゃいました。あの作業できるのYさんだけだったのに...
これから、どうしよう?

◆PJ炎上したんで新規メンバがやってきた。チームルールを教える時間がない。
プロジェクトが炎上したんで、増員した。
だけどチーム内のルール明文化してなかった、既存メンバーの成果物と統一取れてない。
チーム内のルールを教える時間がとれない。成果物チェック時に自分で修正したほうが早い。

◆前のバージョンの問題が再発する!
レビューにて....
レビュアー「これって、前のバージョンでも指摘したよね?何でまた同じ事になってるの?」
レビューイ「すみません。修正します。(そんなこと言われたって、その時まだこのチームにいなかっんですけど、、、)」

その問題、標準化で解決できるかもよ?

標準化とは?

実在又は潜在の問題に関し、与えられた状況の下で最大限の秩序を実現するため、共通かつ繰返し使用するための取決めを確立する活動。(ISO/IECガイド2)
 自由に放置すれば多様化、複雑化、無秩序化する事柄を少数化、単純化、秩序化する行動。具体的には、様々な「もの」や「事柄」について、「品質・性能の確保」、「安全性の確保」、「互換性の確保」、「試験・評価方法の統一」等を目的に、一定の基準を定めること。

出典:日本工業標準調査会ウェブサイト(https://www.jisc.go.jp/dictionary/index.html#50H04)

標準化の例)無印良品
無印良品は2000ページにも及ぶ社内業務マニュアルMUJIGRAMを作成。仕事のスキルやノウハウを蓄積。2001年38億円の赤字から見事V字回復。

◆え!辞めちゃうの?あれできる人材いたかな?
→作業手順を標準化してあれば、引き継ぎがスムーズになります。

◆PJ炎上したんで新規メンバがやってきた。チームルールを教える時間がない。
→チーム内ルールを標準化してあれば、新規メンバにチーム内ルールを教える手間が削減できます。

◆前のバージョンの問題が再発する!
→前バージョンで受けた指摘の再発防止策を標準に反映していれば、再発しません。
 レビュー指摘、テストインシデントが発生したら、常に標準改定して再発防止(流入、流出)できないか、検討しましょう。 

標準化に対する懸案と対策

[問題]どこに書いてあるかわからない

[対策]
標準化のインデックス、全体体系図を(できれば最初の段階で)作成する。

[問題]知りたいことが載っていない

[対策]
知りたい情報の記載がなければ追加する。

[問題]どこに最新版があるかわからない

[対策]
標準化のインデックス、全体体系図に従って配置する。
ファイルを移動させる場合、元のフォルダのファイルを削除し、移動先へのショートカットを置く。

[問題]情報が更新されてない

[対策]
標準メンテする工数を予めプロジェクト工数に含めて見積もる
標準化、カイゼン提案に報奨する制度を設ける
標準化する内容を絞り込む

[問題]標準化メンテ工数、運用工数がかかる

[対策]
費用対効果を検討したうえで標準化する。
内容を絞り込む。必須で実行する項目と推進で実行する項目を分け、必須で実行する項目を優先してメンテする
定期的に見直し、投入工数に対して得られる効果が小さいものは、標準から削減する
自動化を行って投入工数を減らすことで、費用対効果のカイゼンを図る。
※社外事故の再発防止策で大量のチェックリストができて、工数圧迫している、標準が形骸化するとかありがちですね。

[問題]メンバが頭を使わなくなる

[対策]
標準の背景、理由を理解し、不適当な標準があれば、改善提案する意識で作業する。
標準化に完成、完璧はない。標準に誤りが含まれている可能性はある。
オープンソースのような扱い。
標準を参照して作業を実行する側の自己責任。
押し付けや固定化された教条ではない
関係者の合意に基づく決め事であり、常時見直しが図られる
例外を許さない唯一絶対の決め事ではない

標準化の4段階

1)暗黙知から形式知へ

・勘や経験に頼らず技術伝承できるようにする

2)基準をつくる

・うまくいく手順と方法を示す。業務を標準化する
・標準を示す:誰もができること
・幅を示す:「これだけはしやってください/やらないでください」のような幅を示す
・考え方を示す:抽象度の高い概念の示し方、その考えにいたる具体的な例示が必要

3)基準を守れるようにする

・規則・規定、業務品質を守れているかどうかを評価する仕組みをつくる
・評価する仕組みを示す(チェックリスト、確認問題など)

4)ベストパフォーマンスをつくる

・基準に段階を設けて、無理なくステップアップできるようにする
・よくできる人の仕事のやり方を標準にして、だれもが早くその方法を身に着けられるようにする

標準化し、カイゼンしていくことで個人とチームが成長する
標準化は、「自分のした苦労を他人にさせない」、「他人の努力をムダにしない」心づかい