ITIL v3 プロセスまとめ 【サービスデザイン編】


ITIL v3における5つのライフサイクル

  • サービスストラテジ(Service Strategy)
  • サービスデザイン(Service Design)
  • サービストランジション(Service Transition)
  • サービスオペレーション(Service Operation)
  • 継続的サービス改善(Continual Service Improvement)

サービスデザインとは

=サービスストラテジで作成した戦略を実現し、高い品質と顧客満足度、費用対効果を保ちながら運用環境へスムーズに
導入出来るITサービスを設計するプロセス。

サービス設計により作成される成果は全てサービスデザイン・パッケージ(SDP)とまとめられ、サービストランジション(Service Transition)へ引き渡される。

以下の3つのバランスを考慮することが大切。
・機能性(サービスの機能、品質など)
・リソース(費用、スタッフなど)
・スケジュール(期間)

キーワード

4つのP

サービスは、人や製品、それらのプロセス(Process)、またパートナーによって顧客に価値を提供する。
これらの組み合わせをサービスデザインでは4Pと言う。

・人(People)
・動き(Process)
・製品、技術(Product)
・パートナー、サプライヤ(Partner)

4Pから計画の見直しなどをし、優秀なサービスを設計する有効な手段となる。

サービスデザインのプロセス

サービスデザインは、主にサービスの保証を確実にするプロセス。
サービスストラテジで作成されたサービスレベルパッケージ(SLP)に基づき、以下の7つのプロセスから構成されている。

1.サービスレベル管理
2.サービスカタログ管理
3.サプライヤ管理
4.キャパシティ管理
5.可用性管理
6.ITサービス継続性管理
7.情報セキュリティ管理

加えて、サービスデザインの全ての活動を調整するプロセスとしてデザイン・コンビネーションがある。

プロセスⅠ

顧客の期待に応えるサービスを提供するためには、
顧客の期待を理解しなければなりません。

以下の3つは、サービスを供給する枠組みを確立し、またその関係を維持し、サービスに関する情報を一元的に管理するプロセス。

1、サービスレベル管理

 現在と未来のすべてのITサービスが合意されたサービスレベルで、
 供給されることを確実にし、継続的な改善活動をけん引するプロセス。
 SLAが作成され、その達成状況はサービスレポートにまとめられ、顧客や利害関係者に報告される。

※ SLA(サービスレベルアグリーメント)はサービス提供者(プロバイダ)とサービス委託者(顧客)との間で契約を行う際に、提供サービスの内容と範囲、品質要求基準を明確にして、基準を達成できなかった場合のルールを含めて、事前に合意しておくこと。合意内容の文書、契約書を指すこともある。

2.サービス・カタログ管理

 運用中や準備中のあらゆるサービスに関する正確な情報を持ったサービス・カタログが生成され、維持されることを誠実にするプロセス。

3.サプライヤ管理

 サプライヤ=サービスを供給するために必要な製品やサービスを供給する責務を負う外部組織(アウトソーシング)。
 顧客と合意したSLAを整合させ、事業に安定した品質のITサービスを供給できるように、サプライヤとそのサービスを管理するプロセス。

プロセス2

サービスデザインにまとめられているプロセスは、
サービス設計以外にも、サービス移行やサービス運用など、サービスの品質を保証する
プロセスとして重要な役割を果たす。
サービスの保証を実現するプロセスは、以下の4つ。

4.キャパシティ管理

提供するITサービス全般のキャパシティ(リソース・パフォーマンス)を管理し、問題点を事前に検知、サービスレベルを保持したまま最適なコストで維持する活動。
現在と将来の合意されたビジネス・ニーズをタイムリーに満たすことを確実にするプロセス。
ここで得られたデータは、CMISに格納される

*CMIS(キャパシティ管理情報システム)
 キャパシティ管理に必要な情報を格納するデータベース。

5.可用性管理

 可用性:システムが継続して稼働できる能力
すべてのサービスの可用性が、現在と将来の合意されたビジネス・ニーズを
コスト効率よく満たすことを確実にするプロセス。
可用性管理では可用性の目標値を定めて「イベント管理」や「インシデント管理」で測定、検知、対処します。可用性、信頼性、保守性の3つを用いて、監視、測定、分析、報告する事が重要です。可要請管理のデータはAMIS※に格納されます。

・可用性 必要な時に機能を実施する能力
・信頼性 機能を中断せずに実施する能力
・保守性 障害発生後、通常稼働にもどす復旧能力

6.ITサービス継続性管理

ITサービスが中断した場合に必要なIT技術とサービス設備を、合意された事業期間内に確実に回復させることで、事業継続性管理プロセス全体を支援するプロセス。

7.情報セキュリティ管理

すべてのサービスとサービスマネジメント活動において、
情報セキュリティが効果的に管理されることを確実にするプロセス。

情報セキュリティ管理プロセスには、データやサービスの価値を守るために必要な以下の3つの要素がある。
・気密性
 情報が漏れないように管理
・完全性
 正確かつ最新の状態で管理
・可用性
 情報を使いたいとき使えるように管理