新米ネットワークエンジニアがCCNAを取得するまで


はじめに

はじめまして.
私は2019入社の新米ネットワークエンジニアです.
4月から始まった全体研修を終え,8月にネットワーク部に配属されてマネージャーから下された最初のミッションは,「CCNAを取得すること」でした.
どうやらこのミッションは毎年恒例の新人への試練の様です.
受験のタイミングを逃しまくり大分時間もかかってしまったのですが,なんとか無事に取得が完了したので,CCNAとは何か,どうやって取得したかを簡単に書き残しておきたいと思います.
もし同じ目標をお持ちの方がいらっしゃいましたら,是非その一助になれればと思っていたのですが,後述の通り,CCNAは2020/02/24から大幅改定が入り,10種類あったCCNAの資格が1つに統合され,受験の形態も大分変化してしまう様です.
なので私の体験談,勉強方法はあくまで過去の一例として参考にしていただければと思います.

そもそもCCNAってなに?

CCNA(Cisco Certified Network Associate)とは,世界最大規模の通信機器メーカーであるCisco Systems(シスコシステムズ合同会社)が認定するベンダー資格のことです.
Ciscoの設けている「シスコ技術者認定プログラム」には以下の5つのレベルがあり,基本的に上に行くほど難しくなります.
各階層に色々な分野の資格があったのですが,一般的にCCNAというとこの中でもCCNA Routing and Switchingのことを指していました.
私が今回取得したのもこれです.

  • アーキテクト (最高水準の認定)
  • エキスパート (世界で認められる上級の認定)
  • プロフェッショナル (業務で即戦力となる中級レベルの認定)
  • アソシエイト (ネットワーキングの基礎レベルの認定)
    • CCNA Cloud
    • CCNA Collaboration
    • CCNA Cyber Ops
    • CCNA Data Center
    • CCDA
    • CCNA Industrial
    • CCNA Routing and Switching ←これ!
    • CCNA Security
    • CCNA Service Provider
    • CCNA Wireless
  • エントリー (ネットワーキングキャリア構築のスタート地点)

なのですが・・・2020/02/24に行われる大幅改定により,これら10種類の資格は一つのCCNAという資格に統合されることとなりました!
今これら現行の10種の資格の内どれか一つでも持っていればそれは今後もCCNAとして扱われるため問題は無いのですが,改定以降に取ろうとするとなかなかのハードルアップになると思います(後述します).

ちなみにですが,勿論CCNAだけでなく,さらに上のレベルのCCNP,CCIEなども改定の対象になっているようです.これも更に難易度アップですね・・・頭が痛いです

資格取得の目的

CCNA取得の目的としては,他の様々な資格と同じく就職・転職に有利になる,給与UPが望めるなどもあるようですが,私の今回の目的はあくまでもネットワークの基本的知識を効率よく身につけることでした.
別に取ったからって給料も変わりません(笑)
入社してすぐの全体研修などでもネットワークについては一通り学びましたが,やはり配属前ということもあり,理解の甘い部分や知らない部分は数多くありました.
このような部分をまずは最低限埋めなくては,そもそも現場でバリバリ働いている先輩方とは会話すら成立しませんので,資格勉強を通して一般常識を身につけるというのが本題です.
ちなみにですが,この資格は有効期限が3年と決まっており,期限を更新するには同じ資格以上のレベルの資格に再度合格する必要があります.(詳しくは公式サイトをご確認ください)
「一回取ってしまえば一生使える!」ってものではないため,注意が必要ですね.

余談ですが,仮想化環境大手のVMwareさんの資格は最近有効期限という概念が消滅したそうです.
そう言われると「取ろうかな・・・」って気分になってきてます(笑)

受験方法

CCNAの取得方法には2種類ある.一括で受けるか分割で受けるかだ・・・というのが常識だったのですが,これは2020/02/24の改定で完全に過去のものとなってしまいました.
もう分割取得の方法は消滅し,一括で受験するしか手段はありません(私は分割で取得しました).
個人的には,もうこれだけでも大分大幅な難易度アップな気がしてます.
参考書(黒本)をお持ちの方ならお分かりかと思いますが,分割してですら一つが広辞苑みたいなサイズだったあの参考書を,2冊同時に覚えて試験に臨むというのは,ネットワーク初心者からしたらとんでもないビッグハードルですよ・・・
更に内容自体も10種分野が統合されてすごいことになりそうですし・・・
これから受ける方は頑張ってください.

受験方法ですが,200-301 CCNAという試験に一本化されます.
https://www.cisco.com/c/ja_jp/training-events/training-certifications/exams/current-list/ccna-200-301.html

詳しい申し込みの方法は公式サイトをご参照ください.
https://www.cisco.com/c/ja_jp/training-events/training-certifications/certifications/associate/ccna.html

出題形式

出題形式はCBT(Computer-Based Testing)方式です.問題紙・解答用紙ではなくコンピュータを用いて問題を解きます.マウスで操作する選択問題やドラッグアンドドロップ問題といった知識理解の設問だけではなく,キーボードを用いたシミュレーション問題など、実践的な問題も出題されるという特徴があります.
ただ注意してほしいのは,この問題が英語を無理矢理グーグル翻訳で日本語に変換したような文章で出題されるということです.
シス語とか言われてるみたいですが.
高いお金を取ってやってるんだから正直ちゃんとしてくれと思いますが,愚痴を言っても仕方ないので何とか皆さんの日本語力を駆使して読み取ってください.

私が実際に受けた時,タブの中に「問題文」という項目が存在せず,そんな馬鹿なと思って色々探し回った結果,「お問い合わせ」というタブが問題文だったなんてこともありました("Question"を誤訳したんですかね?).
同期には,ある特定の問題は問題文から選択肢まで全部英語のままだったという猛者もいましたので,英語が得意じゃない方はご注意ください.

試験範囲

新CCNAの試験範囲については,以下の公式ドキュメントでご確認ください.
https://www.cisco.com/c/dam/global/ja_jp/training-events/training-certifications/exam-topics/200-301-CCNA.pdf

120分の試験であることは変わりませんが,内容はやはり範囲がえらいことになってますね.
受験料などの情報に関してもまだ出ていないようなので,分かり次第更新します.
恐らく現行の一括試験と同じく40000円前後だとは思いますが・・・

私の勉強方法

このように私が受験したCCNAと今後のCCNAでは大分内容が変わってしまいますので,一概に私の行った勉強方法が適用できるわけではありませんが,まあ言っても勉強方法自体はそこまで変化するものでもないと思います.
そんな奇を衒った勉強をしたわけでもありませんし・・・

私の行った勉強は主に以下の4つです.

1. 文献ベースの学習
2. Ping-tの活用
3. Packet Tracerを利用した実機(?)訓練
4. 外部トレーニングの受講(チート)

一つずつ解説していきます.

1. 文献ベースの学習

1.1. 黒本(参考書)を使った勉強
ベタ中のベタですね.王道とも言えます.
CCNAの勉強を考えたことがあることなら必ず見たことがあるであろう,あの分厚くて重くて真っ黒な,何とも勉強意欲の削がれる見た目をしたあいつです.
私は紙媒体の書籍を先輩に譲ってもらいましたが,重いしかさばるしで勉強する際に持ち運ぶのが結構大変だったので,もし購入を考えているのであれば電子書籍での購入をお勧めします.
私はまずこの本を頭からお尻までガッツリ読み込みました.今思えばここが一番苦痛だったように思います.
読んでも読んでも残りページが減らない恐怖・・・
勿論,まずは問題に取り組んでみて,分からなかったら辞書的に黒本を使う,という勉強方法もありだと思います.
ですが私は全く歯が立たないまま問題に取り組むというのがとてもストレスだったので,この方法を取りました.
嫌いなものを最初に食べてしまう方式ですね.
ここさえ乗り切ってしまえば,後はそんなに苦じゃありませんでした.

1.2. インターネットサイトを使った学習
これもまあ当然ですね.本を読んでもわからなければネットでググりましょう.
幸いにもネットワークに関する情報サイトはふんだんにありますし,情報が足りなくて困るということはまずないでしょう(多すぎて困ることは多々あるでしょうが).
私が良く参考にしているサイトをひたすら羅列してもいいんですが,別にそんなことしなくても「分からないこと+ネットワーク」みたいなワードでググればまず間違いなくいろいろ出てくるのでここでは割愛させて頂きます.

2. Ping-tの活用

Ping-tは基本無料(有料コンテンツもあり)のオンライン問題集です.
こちらもインターネットサイトを使った学習だろと言われればそうなんですが,少し文章を割きたかったので別枠にしました.

以下がPing-tのサイトです.
https://ping-t.com/

ICND1(CCNAを分割して受ける時の前半部分)を受験したときは,ほぼこちらにお世話になってました.
問題集はもちろん,合格体験記などもかなり参考になるので,是非一度試してみることをお勧めします.
基本的知識を問うものから実践的な問題まで幅広く出題してくれる上,解説が非常に丁寧なので,取り組んでいるだけでどんどん知識が身についていきます.
スマホでも利用できるので,出勤中の電車の中でも勉強できるのは大きいです.
無料だとICND1の問題集だけ使用することが出来るのですが,有料会員になればICND2の問題集や,コマンドを実際に打ち込んで勉強するモードなども使用可能になります.私は課金してこのモードも使いました.
ただ,実際に受験した感想としては,問題形式そのものはそんなに近いわけではなかったように思います.
これを過去問のつもりで解いていき,そのまま実際に受験に臨むと,冷や汗をかくことになるかもしれません.

3. Packet Tracerを利用した実機(?)訓練

Cisco Packet Tracerとは,Cisco Networking Academyが公開しているフリーのソフトウェアです.
ソフトウェア上でPC・ルータ・L2スイッチ・L3スイッチなどを配置し、それらを接続してネットワークを構築することができます.
実機を使っていつでも勉強できるリッチな環境が完璧に整っているならば話は別ですが,なかなかそんな訳にもいきません.
まあ仮にそんな環境をお持ちの方でも,実機の設定は中々面倒なものですよね.重くてデカくてうるさいですし.
このツールを使えば,いつでもどこでも好きなネットワーク環境を構築して,実際にコマンドを使って勉強することが出来ます.おすすめです.
やはり文献だけで勉強するのは限界がありますし,実際に手を動かしてみないと分からないことは多々ありますので,是非一度試してみることをお勧めします.
試験でも実際にコマンドを使ったシナリオ問題などはボンボン出題されますしね.

具体的なインストール方法や使用方法については以下のサイトが詳しいです.
https://hetare-nw.net/

ただ実際に利用した感想としては,意外と使用不能なコマンドがあったり,思った通りのネットワークを作るのが大変だったりといった面も少なからずありました.
こちらの習得に時間をかけすぎ,肝心の勉強が疎かになる,といった本末転倒はご注意ください.

4. 外部トレーニングの受講(チート)

はい,これはチートです.
私の部署ではICND1は自力で取るようにとのことでしたが,ICND2に関しては会社のお金で外部トレーニングを受講させてくれるとのことで,私も例にもれずありがたく受講させて頂きました.
実際に受講した感想としては,やはり「プロのトレーニングすげえ!」に尽きます.
五日間の講習で,ICND2の範囲をみっちり叩き込んでくれますし,手を動かすラボも質問対応も完璧です.
分からなかった部分は質問しまくって全部解消しましょう.

しかしやはり何といっても,講師の先生方が心血を注いで作った過去問題集が強烈でしたね.
そのまんま出た問題も何個もありました.
もし受けられるのであれば,絶対に受けた方が良いと思います.

ただ,やはり一週間丸々+20万円overのコストというのは気軽に払えるものではないでしょうし,これを受けないと試験に合格できないかと言われれば決してそんなことは無いです.
上に上げた1~3の勉強だけでも全く問題なく試験に合格することは可能だと思います(チート使った本人が言ってもあんまり説得力は無いですが・・・).

いざ受験へ

1. ICND1
前述したとおり,ICND1は完全に独学で臨みました.勉強期間は約一か月程でした.
Ping-tをかなりやり込みましたし,実機もちょこちょこいじれる環境でしたので,特に問題なく一発合格しました.
点数は900点くらいでした.
大変だったのは,伝家の宝刀#show runが封印されていることですかね.
ICND2では無双できるんですが.

2. ICND2
ICND2に関してはまず外部トレーニングを受講して,そこでほぼ基礎を固めました.
が,色々と手違いやタイミングの悪さが重なり,勉強をほぼまったくしないまま3か月程経ってしまいました.
どんどんと試験改定という〆切が迫ってくる中,業務の案件もどんどん増えていき,勉強の時間がとれず,更に先延ばしにするという悪循環が続きましたが,2020年に入ってしまい,流石にこれはあかんと頑張って勉強を再開し,何とかICND2に合格することが出来ました.
とりあえず落ちるのを前提に受けてみたのですが,トレーニングの効果がまだ持続していたのか,こちらもまさかの一発合格で,点数も920点と予想以上の高得点でした.
まあ普段の業務でもネットワーク機器には触れていましたし,そのおかげでしょうか.
ですが皆さんは勉強したらなるべく早めに受験するのを強くお勧めしておきます.
じゃないとずっと喉の奥に小骨が刺さったような気分を味わい続けることになります.

終わりに

以上が,私がCCNAを取得するまでに行った全てです.
今後試験が改定されてどのようになっていくのかは定かではないですし,難易度も間違いなく上がるとは思いますが,ネットワークの知識を問うといった本質が変わることは無いでしょうし,その勉強方法が抜本的に変わることもないと思われます.
ドキュメントを読んで,手を動かして検証して,分からなかったらまたドキュメントを読んで・・・の繰り返しです.
試験に受かればそれでいいのかと言えば全くそんなことないわけですし,多少遠回りでも結局この勉強方法が一番身につくのかなと思います.
今後更に上のレベルのCCNPなどを受けるかどうかは未定ですが,もし合格したらまたナレッジを共有したいと思います.

また,私はAWSなどのクラウドサービスを使用した案件にも携わっている為,AWSの資格取得やAWSを用いた役立つ技術共有などに関する記事も今後上げていきたいと思っています.
現在鋭意制作中ですが,もし興味を持っていただけましたら,ぜひそちらの記事にも目を通して頂ければ幸いです.

それではまた.