SocSci Meetup ~社会科学をブートする~ 勉強会メモ


概要

SocSci Meetup ~社会科学をブートする~

Tech全盛の時代に、社会科学が立ち上がる!
Sansan株式会社 DSOC R&D内で行ってきた社会科学系論文読み会を拡張し
「社会科学はAI時代にどのような価値を生み出せるか?」を考えるコミュニティ"SocSci"を旗揚げします。
今回のイベントでは、社会ネットワーク研究からデジタル環境のエスノグラフィーまで
最新の研究潮流、あるいは古典的な研究の精査を通して
「サービス開発・モノづくりに社会科学はどう関与できるのか?」について考えていきます。

発表

枯れない古典の社会学的思考

発表資料

  • SanSanLabのビジネスマンタイプ分析
    • 取り込まれた名刺データだけで、ユーザの特徴分析
    • 社員のプロファイリングやチーム編成への利用
  • 分析軸
    • キーマン: 社内の多くの人とつながっているか
    • チームリーダ: チーム内でどれだけ密なつながりを形成しているか
    • 開拓者: どれだけ希少な人とつながりがあるか
    • 大御所: どれだけ高い役職の人とつながりがあるか
    • イノベーター: どれだけ多くの業界とつながりあるか
  • 社内ネットワークの構成を見ている
    • 社内では普通名刺は交換しない
    • 共通の名刺を交換した履歴から協働関係を推定
  • 相互作用を媒介するオブジェクトは何か
    • 起源は社会学者ジオルグジンメルのアイデアから
    • 名刺への応用
  • 他に社会科学が役立った点
    • 手法
    • ネットワーク分析
    • インタビューやエスノグラフィー
    • 発想
    • 社会ネットワークから得られる
    • 名刺を「相互作用オブジェクト」としてとらえる

人脈が支える経済ネットワーク

発表資料

  • 人脈ネットワークとビジネス
    • 個人や組織のパフォーマンスは、人脈に依存する
    • つながりの有無、多様性、質の評価
  • 名刺による人脈ネットワークの定量化
  • ソーシャルキャピタル
    • 個人の利益を最大化しつつ、人間関係を生成する
    • 協調関係を通して、効率性が向上する
  • Christakisの研究
    • コホート研究のデータを使って、健康状態の社会ネットワーク上の伝播を実証
    • 肥満同士でネットワーク近傍度が近くなる
    • 類は友を呼ぶ
    • 共通環境要因
    • 誘引効果
  • ソーシャルキャピタル関係の研究
    • 企業の関係性を可視化
    • 売上や契約規模と人脈の関係
    • 企業ネットワークと企業の成長の関係性

情報過多社会における接触情報の偏り

  • 現代において、失われる情報の多様性
    • フィルターバブル
      • 検索やレコメンデーションで選択肢を狭めている
    • エコーチェンバー
      • 身近の情報発信者が偏る
  • 多様性が失われたとき
    • 自分の持っている情報が正しいと信じる   - ミクダス仮説
    • 批判的な意見ばかり聞いていると、正確な判断が困難になる
    • 相手の事情に触れないため、攻撃的になる
  • 事例:Twitterとの関係(受動的情報接触)
    • リベラルとコンサバのツイートを同時に見る人は少ない
  • 事例:ニュースキュレーション(半受動的情報接触)
    • レコメンデーションにより、ユーザの見る情報の多様性が低下する
  • 事例:AbemaTV(能動的情報接触)
    • ユーザとコンテンツの2部グラフからコンテンツの特徴を学習(LINE 2nd)
    • 時間とともに、情報の多様性の増加
  • 能動的な選択を促すことで、ユーザの多様性を増大させられる可能性

なぜIT企業はエスノグラファーを雇ったのか?

  • エスノグラフィー
    • 他者の活動を観察したり聞き取ったりすることで、意味を言語化して理解する方法
    • 文化人類学が起源
    • 異文化人の生活様式を調査する
    • 質的調査法として活用されている
  • 事例
    • Lucy Suchman (Xelox)
      • コピー機の使われ方の検証
    • Danah Boyd (Microsoft Research)
      • 若者のSNSの使い方

参考