文系学部卒SEが新入社員の面倒を見た話


0 はじめに

この数か月、今年入社された新入社員の教育担当みたいなことをさせてもらっていました。その中で、考えたこと・意識的に取り組んだことがあったので、備忘録の意味も込めて、記事として投稿させていただきます。

本記事の内容は個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。

この記事では、新入社員に携わる中で気を付けたこと・意識したことをつらつらと述べていきます。あくまで、「新入社員とほぼ同世代かつ、社会人になってプログラミングを始めた人間」ということを踏まえて本記事を読み進めていただけると幸いです。
また、初めてQiita記事を書いたこともあり、かなり拙い文章になりましたが、ご容赦ください。

この記事の対象者

  • 新入社員の面倒を見る担当になった人

1 自己紹介

この経歴で新入社員の面倒を見れるのかと自分でも突っ込みたくなるような経歴ですね

  • 大学までにプログラミング言語に触れた経験は皆無 (授業でR言語をやった記憶がある程度)
  • 経済系学部卒
  • 基本情報技術者試験での得点源は専らマネジメント・ストラテジー分野
  • ソースコードよりも、財務諸表の方が馴染みがある
  • 入社直前の2019年3月に、始めてHelloworldを表示させる

といった感じで、就職するまでド文系の人間でした。IT企業の「営業・事務職/技術職」の応募職種を見てなんとなく入社したら技術職の方だったっていうタイプの人間です。
自己紹介はこの辺りにしておいて、そんな自分が「新入社員の教育を見るように」と言われて、まず初めに意識したことは以下の2点です。

2 新入社員の教育を行う上で意識し続けた2つのスタンス

2-1 新入社員に教えるのではなく、新入社員を見守る

新入社員に教える立場ではありましたが、正直なところ、教えられるほどの十分な経験やスキルもなかったので、新入社員に教えているという考えをまず捨てました。(教えること自体を放棄したわけではない点に注意してください。)

あくまで、自分が経験したことを新入社員に還元する立場であることを忘れないようにしつつ、新入社員が何か不安な点や分からない点があった時に、すぐに話を聞けるような立場であることを心がけました。また、新入社員が何か出来るようになった・成長したことにも気付くことができるように、新入社員を見守るという意識で接するようにしました。

(一般的な話として、)今年の新入社員の中には、仕事内容や会社のことを何も知らない状態でリモート勤務や在宅勤務にいきなりシフトした方も多いと思います。入社からリモート環境で会社の人と対面で話す機会がほとんどない新入社員に対して居場所を作る・何かあったときに話しかけられる人がいると思ってもらうためには、見守るというスタンスの方が良かったかなと個人的には思います。

また、見守るという意識を持って新入社員に接したことで、新入社員の行動を観察するようになり、具体的なアドバイス・改善ポイントを伝えられるようになったかなと思います。

2-2 自分も学ぶ立場であることを忘れない

自己紹介や前節の冒頭でも述べましたが、そもそも自分が社会人になってからプログラミングなどの勉強を始めた人間であり、教えられるほどの十分な経験やスキルもありませんでした。そのため、自分もいろいろ学ぶ立場・教わる立場であることを忘れないようにしていました。(当たり前のことかもしれませんが)

新入社員の中には、情報系の学部/研究科を卒業され、(教える立場の)自分よりも知識や習得スピードが速い方もいらっしゃいます。そういう方からは、調べ方や実装について逆に教わることもありました。

一方で、社会人になってからプログラミングなどを始めた方もいらっしゃったので、業務外の勉強方法を聞かれることもありました。そういう時に、自分がどういう風に業務外で知識を習得しているかを話せるというメリットもありました。(業務内だけで身に付けたと言えば、一番かっこいいんでしょうけど)

意欲がある人に対してその意欲に応えられるように、常に自分も学ぶ・新しい知識を習得するように努めることは大事だなと思います。

教え方や伝え方などに関しても少し本を読んだり、記事を漁りました。また、技術的なことに関しては、巷でオススメされている技術書や動画を見たり、ハンズオンで手を動かすなどしてみました。人に何かを教えるという役割を担った以上、正しい知識を身に着けることを自分自身でまず徹底しないといけないと痛感しました。

3 新入社員に何かしてもらう上で意識した5つのこと

次に、実際に新入社員に業務をしてもらう際に意識したこと/取り組んだことをつらつらと述べていきたいと思います。

3-1 自分が分からないことは隠さない/非がある場合は素直に認める

(前章でも述べましたが、)社会人になってからプログラミングなどの勉強を始めた人間であり、1から10まで教えられるほどの十分な経験やスキルもまだありません。ですので、新入社員が業務を進める中で生じた不明点や疑問点に解答出来ない場合もあります。その際、有耶無耶にして曖昧な解答をすることを避け、分からないことは分からないと言うようにしました。そうした方が、新入社員が調査する・自分が調査する・上位者に質問するといった次のアクションにすぐ移行しやすかったです。

また、新入社員から見ても、他の質問の解答に対して信用できるという安心感が増すかなと個人的には思います。同様の面で、こちらの説明の仕方やタスク依頼の仕方などで非があった場合も、言い訳をせず認めた方が、新入社員に信頼されやすいと思います。

以下でも意識したことをつらつらと述べますが、新入社員に教える・面倒を見る・タスクをしてもらう上で、「新入社員から信頼される・信用される行動をとる」というのは大事なことだと思います。

3-2 とりあえず試しにさせてみて、やってから振り返る

山本五十六の言葉で

  • 「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」

という言葉がありますが、新入社員にタスクに取り組んでもらう際にも当てはまっているなと思いました(時間がない場合は、自分がまず実践することを飛ばしていましたが)。説明だけではなく、実際に手を動かしてもらった方が理解が早いと実感しました。その後の振り返りのコミュニケーションの際に気を付けたことに関しては、以下の項・章で説明しますが、指摘事項一辺倒にならないように、褒めるポイントも盛り込んで振り返りを行うようにしました。

3-3 1から10まで全部教える時期に期限を設ける

どこかで手取り足取り教える時期を終え、仕事の進め方も含めて自分で考える・調査するようにシフトする必要があります。最終的には、

  • 自分で段取りも考えてタスクを進める
  • 不明点や疑問点があったときに自分で調査する

といったように自力で解決できるようにするため、少しずつ与えるヒントを減らしていくのが理想です。最初から、自分で考える・調査する・仕事を進めるでもいいと思いますが、何も進められない可能性があるので、初期は手取り足取り教えることがあっていいと思います。

3-4 出来ないことは3回目まで待ってみる

ミスを責める際の定番句として、「同じことを2度も言わせるな」とありますが、今回自分のルールとして、3回目のタスク遂行まで待ってみることを意識しました。

  • 1回目のミス・指摘事項:初めての内容・不明点が存在する可能性が高い
  • 2回目のミス・指摘事項:1回目の時の指摘事項や不明点に対する自分の説明が悪い可能性が高い

という考えに基づいて、3回目に出来れば最低限OKという基準を自分の中で持っていました。出来た・ミスを修正したことに関しては褒めますが、ミスが許されない状況や同じことを言ったから次からは気を付けましょうという緊張感も適度に与えれば、より良かったかなと思います。

3-5 3回目まで待って出来ないことが発生したら

もし、3回やっても出来ないことに関しては「何故出来ないのか」を聞くことにしました。その結果、「能力不足」・「心構えが甘い」が答えになってしまっては意味がないので、あくまで「取った行動」に焦点を当てました(100%出来たわけではないですが...)。それをどう改善していくかが教育担当の腕の見せ所なのでしょうが、自分は上手く出来た気がしないので多く言うのは避けておきます。自分が意識したのは、

  • 「原因」や「原因を解消するための方策・アプローチ」を一緒に考える
  • あくまでミスは結果
  • 「取った行動」に対して「問いかける」

の2点です。(ここら辺の話は、後で紹介する書籍を読んだ方が早い/知識が得られると思います。。。)

4 新入社員とコミュニケーションを取る上で意識した3つのこと

4-1 話しかけやすい人と思われる(コミュニケーションを取る準備)

対面・リモートでのコミュニケーションを問わず、まず新入社員とのコミュニケーションを取る上で大事なことは、

  • 話しかけやすい人・話を聞いてくれる人と(新入社員に)思われる

この1点に尽きると個人的には考えます。
仕事を進める上で不明点や疑問点が生じる機会が、新入社員は特に多いと思います。そういう時に新入社員が気軽に声をかけることが出来るような雰囲気であることを心がけました。しかし、初対面からいきなりそういう雰囲気になっているなんてことは実際には皆無でしょう。
そこで、話しかけやすい人と思われるために自分が取り組んだこととしては、

  • 自ら話しかけに行く姿勢を見せる
  • (お互いに出社している時は、)昼休みなどの休憩時間で業務とは関係ない日常会話も混ぜる

の2点です。どちらも割と普通のことです。ですが、自発的・積極的にコミュニケーションを取ってくる新入社員だけではないことを考えると、実践して良かったかなと思います。
特に1点目に関しては、はじめましての状態から関係を構築する際に構築する責任は先輩社員側にあると個人的には思っているので、まずはこちらから新入社員に話しかけて、新入社員が緊張しないで会話できるような人間を目指しました
話しかけやすい人の目安としては、新入社員が自発的に質問に来るかどうかを基準にしていました。

4-2 指摘事項・上から目線のアドバイスだけになってはいけない

(口酸っぱく何度も言いますが、)社会人になってからプログラミングなどの勉強を始めた人間であり、1から10まで教えられるほどの十分な経験やスキルもまだありません。ですが、新入社員に教える・アドバイスするというタスクは、無情にもやって来ます。その際、以下の2点をなるべく内容に盛り込むように心がけました。

  • 良かった点(褒める箇所)
  • 自分の体験談(というより失敗談)

指摘事項しかない振り返りやレビューを新入社員に対して初期段階で行うのは、リスクが高いと個人的には考えていました。理由としては、新入社員のモチベーションに悪影響を及ぼす・自信を完全に喪失させてしまうと業務遂行に支障が出ると思ったからです。あくまで、新入社員が出来ることを増やす・成長を促すことが目的であることを忘れないようにしました。自分は使いませんでした(というか忘れていました)が、KPTなどのフレームワークを振り返りに使うといったことをしても良かったかなと思います。
2点目の自分の失敗談に関しては、アンチパターンを共有して防止するという目的もありますが、あくまで「等身大の先輩社員」として接することを心掛けていたため、やらかしたことも話しました。副産物として、新入社員が自分のミスでくすっと笑うという緩和の役割もありました。

4-3 リモートでのコミュニケーションでは、言葉遣いにより一層気を付ける

今日の社会情勢に鑑みて、リモートワーク・在宅勤務へのシフトが進んでいます。新入社員とのレビューや質問対応に関しても、オンライン会議で進むことがかなり多かったです。新入社員とのオンライン会議の回数をこなして、感じたのは、言葉遣いや理解できる言葉選びが、対面の時以上に重要と思いました。
その中で自分が心掛けたこととしては、

  • 相手の理解度を適宜、具体的に確かめる
  • 成果物がある場合は、その成果物ベースで話を進める

の2点です。新入社員以外が相手でも同じことはできると思います。上記2点を行って、話している内容への理解度・解像度を話し手・聞き手で同じに揃えることがリモートでの会議を円滑に進めるには必要だなと思いました。その際、「わかった?」と聞くだけではなく、自分が言った指摘事項・アドバイスを新入社員に説明してもらう、新入社員に次に取るアクションを説明してもらうといったように明確なアウトプット・行動に落とし込んで理解度を確認したら、より良かったかなと思います。

また、オンライン会議で言葉だけのコミュニケーションだと指摘やアドバイスする時には、自分ではそう思っていなくても聞き手からすると、上から目線・高圧的だと感じる可能性もあります。なるべく、新入社員にそう思われないように、言葉遣いは雑にならないように心がけました。また、褒める箇所は口頭でも伝えられるので、リモートでも褒める点を盛り込んだ話の構成にしました。

5 おわりに

自分がまだ未熟であるにもかかわらず新入社員の面倒を見る立場になったので、色々課題も多かったですが、発見も多かったです。
また、

  • 人にものを教えるには、自分はそれ以上に学ばないといけないこと
  • まず、自分を律すること

といったように、内省するきっかけにもなりました。

自分が考えたこと・取り組んだことを私の個人的な見解に則って書きました。

参考書籍

エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング

前から気になっていた書籍ですが、この機会に読みました。
メンターやそれっぽい担当になった人は読んだ方がいいと思います。